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「遺失物」とは落とし物、忘れ物などのように占有者(持ち主)の意思とは無関係に、占有を離脱した動産であると規定されています。
奪取により占有を離脱した動産は含まれません。具体的には道路に落とした財布や時計、ホテルのロビーに置き忘れたカバンなどが該当します。
遺失物はその元占有者に速やかに返還されて権利を保護する必要があり、同時に拾得者に対しても一定の権利を定めて利益を受けさせる必要があります。 こうした主旨から定められたのが遺失物法です。
遺失物法以外にも遺失物に関する法律は大きく2つあります。民法と水難救護法です。それぞれの法律によってカバーする範囲が異なりますので、ここでは遺失物法が準用される物件(動産)を見ていきましょう。
遺失物は拾った場所によって取り扱いの手続が異なります。ここでの「一般の場所」とは、まさに言葉通りに一般の場所、道路などを指します。
いわゆる落とし物です。遺失物の拾得者は、拾得した遺失物を速やかに遺失物の元占有者か、遺失物について回復請求権を有する者に返還しなければなりません。
一般的には、警察署長に届けることで返還手続を警察機構に委ねます。
一方、無事に遺失物が占有者の手に戻った際には、占有者は拾得者に対し、謝礼という形で報労金を渡さなければなりません。 しかし、拾得者は遺失物を拾った日から7日以内に返還するか警察署長に届け出なかった場合、報労金を受ける権利を失います。 報労金は当該物件の5分から2割の範囲内で金額を給付することになります。一般的に「落とし物の1割」といわれている謝礼です。 ただし、拾得者が国庫その他公の法人である場合には、拾得者は報労金を請求することはできません。
また遺失物の保管管理や公告には保管金という費用が発生します。保管者に対し占有者はその費用を支払う必要があります。 報労金や管理金を払ってまで遺失物を再び占有する気はない、という場合には遺失物の占有権利を放棄することもできます。 権利を放棄した場合、報労金や管理金を支払う必要はありません。
遺失物を拾得した場所が管守者のある船舶や車である場合、また建築物やその他公衆一般の通行に使用されない構内において、施設の占有者か管守者以外の者が遺失物を拾得した場合は、拾得者は拾得後24時間以内に施設の管守者に拾得物を差し出す義務があります。
拾得物を受け取った管守者は、今度は施設の占有者に拾得物を差し出す義務があるのです。施設の占有者は最終的にその遺失物を警察署長に渡すか、元の占有者に直接返還する義務があります。
そのために施設の占有者は、遺失物を受け取った旨の預かり証を拾得者に交付し、物件を警察署長に差し出すまでの間、公衆の目につきやすい場所に遺失物の拾得公告を行う義務があります。
拾得者は24時間以内に管守者へ遺失物を差し出さなければ報労金を受け取ることはできません。また、報労金と管理金は拾得者と施設の占有者がそれぞれ法定額の1/2ずつを元の占有者に請求することができます。 遺失物の占有権利を放棄することができるのは、この場合も同様です。
占有を離脱した物件でありながら、忘れ物や落とし物ではなく、物件の性質や状態から遺失物法が適用される物件のことを「準遺失物」と呼びます。以下のような物件が該当します。
犯罪者が犯罪の実行のために準備しておいた物、犯罪によって得た物、犯罪者が占有していた物などで、犯罪現場やその周辺などに置き去った物件などは遺失物の1種と見なすことができます。 ただし、これらの物件は犯罪捜査のために特別の扱いが規定されています。
過失により占有してしまった物件を指します。つまり“間違えて持ってきてしまった”という物です。他の遺失物とは異なり、本人の過失により発生しているため、報労金の請求はできません。
自己の占有する場所に他人が遺留していった物件を指します。家の庭に誰かが置いていったカバン、などが該当します。 警備現場においてこれらの物件を目にすることは少なくないでしょう。これらの物件は、本当に置き去られた物件であるのか、後で元の占有者が取りに来るつもりなのか判別することが困難です。 遺失物として警察に届けた場合、占有者が後から取りに来て報労金などの問題で揉めることもあり得ます。 対策としては予め、放置を認める期間について明確にし、その旨を表示しておく必要があります。
飼育者の意思に反して、その占有を離脱した家畜を指します。家畜には食用、愛玩用、実験用、営業用の動物を含み、準遺失物として扱います。
土中、もしくは不動産以外の中に包蔵されている物件を指します。所有者を容易に判定できない物を、この場合は準遺失物として扱います。 土中に埋まっていた物件はもちろん、中古住宅の屋根裏から発見された物件や壁に塗り込まれた物件などが該当します。 また埋蔵文化財とは、具体的には埴輪や土偶、石器などを指し、遺失物法ではなく文化財保護法の適用を受けます。
遺失物法第15条によれば、拾得された物件の所有者が現れない場合には、当該警察署の属する都道府県に帰属することになります。また、所有を禁じられている物件(銃砲刀剣類、火薬、爆薬、麻薬、毒物および劇物)に関しては国に帰属することとなります。